「怖い」先生と言っても、いろんなタイプがあります。
例えば、
1 普段はニコニコして優しいけど、怒ったら怖いタイプ。
2 いつ怒鳴られて、ビシッとやられるかと周りの雰囲気がいつもピリピリしてる体育会系のタイプ。
3 たくさんの課題を出したり、レベルの高い要求をして、有無を言わせずビシビシ厳しく鍛えるタイプ。
などなど。
私の一番怖かった先生は、高校2年のときに転任されてきたY先生でした。
Y先生は、たくさんの課題を出さないし、レベルの高い要求もしません。
無愛想じゃないけど、ニコニコしてるわけでもありません。
殴らないし蹴らないし、怒鳴らないし怒りません。
一般的に言うところの「怖い」という要素はありませんでした。
でも、私の努力の足りなさを見透かす力をお持ちでした。
だから怖かったのです。
指導を受けたいのだけれど、Y先生の前に立つのは気合が必要でした。
Y先生の出身大学の同じ学科を受験することにした私は、ありがたいことにマンツーマンでご指導いただけました。
だのに、正直に言うと、あまり努力できてなかったのです。
それでも受験直前に「受験してもええくらいの力はついたかなぁ」という言葉をいただいたときには嬉しかったです。
Y先生は、「ほめる」という指導をしないタイプの先生でしたから。
(ほめられるようなことを私はしてませんでしたが……。)
とにかく、Y先生のご指導のおかげで合格!
Y先生は我が高校のOBでもありました。
私は高校のY先生の高校と大学の後輩となったのです。
大学では、同じ学科の後輩というのに加えて、Y先生と同じく男子学生寮で暮らすことになりました。
2年3ヶ月後、大学3回生の6月、教育実習で母校の高校にお世話になりました。
私の一番怖かった先生であるY先生にご指導いただいた4週間。
授業を1時間でも多くするほうが勉強になるからと、全部の授業を受け持たせていただきました。
しかし私は実力が足らず、段取りも悪く、時間ばかりかかってしまっていました。
毎日、朝7時過ぎから晩9時過ぎまで、学校で14時間過ごしていました。
もちろん帰宅してからも授業の準備をしてたので、睡眠時間は減る一方でした。
教育実習の終盤のある日、あまりの睡眠不足で、眠くて眠くて耐えられなくなってきました。
(次の授業の準備は出来ている。
20分ほど時間がある。
今、Y先生は1階の職員室だ。
3階の教科準備室には、自分だけだ。
ちょっとだけ寝てもええかな?
ええことにしよ。
こんなとこに毛布があるし……。)
横になって毛布をかぶって目をつぶりました。
と、その瞬間、教科準備室の扉の開く音。
そーっと薄目を開けてみました。
(アカン、Y先生や!)
「こらっ、何しとんや!」と怒られると思って観念しました。
(あれっ、何も言われへん。)
Y先生は静かに扉を閉めて、立ち去られました……。